嫁入り前の娘に最低限持たせたい着物

【現代の嫁入り道具】嫁入り前の娘に最低限持たせたい着物は?昔の着物の処分方法についても解説

目次

娘が結婚する際に用意する「嫁入り道具」。昔は着物一式を嫁入り道具に持たせることが一般的でしたが、現代の生活様式では結婚の際に大量の着物を持参することは少なくなりました。最近あらためて着物の良さが見直され、嫁入り道具として幅広いシーンで着用可能な着物を持たせることが増えてきています。

しかし「嫁入りでどの着物を用意するべき?」と悩まれる方も。今回は「現代の嫁入り道具の着物」について着物のプロが詳しく解説します。昔と今の嫁入り道具の着物のちがいや、最低限用意したいおすすめの着物、着物を準備する際の注意点などについてみていきましょう。

昔の嫁入り道具の処分に困っている方に向けて、適切な処分方法についてもアドバイスします。ぜひ最後までご覧ください。

 

嫁入り道具としての「着物」昔と今ではどうちがう?

昔の嫁入り道具

古風な響きのある「嫁入り道具(よめいりどうぐ)」。日本では昔から、結婚して他家に嫁ぐ娘に「家財道具」を持たせる風習があります。これからの結婚生活で困らないよう、両親が娘のためにさまざまな道具を準備する習わしです。

嫁入り道具の準備は今も残る風習ですが、昔と今ではライフスタイルも大きく変化しているため、準備する嫁入り道具の内容も変わっています。今回は、嫁入り道具としての「着物」にフォーカスしてみていきましょう。

 

昔はたくさんの着物を持たせていた

昔は結婚後に嫁ぎ先の冠婚葬祭で着用できるよう、TPOに合わせて何着もの着物や帯を嫁入り道具として持たせるのが一般的でした。昔の一般的な嫁入り道具の着物ラインナップの以下の通りです。

【昔の嫁入り道具の着物一覧】

  • 黒留袖
  • 色留袖
  • 訪問着
  • 付け下げ
  • 色無地
  • 喪服
  • 羽織
  • それぞれの着物に帯3本ずつ

昔は娘が嫁ぎ先での行事に困らないよう、着物と帯、それに合わせた小物を箪笥1竿に収納して嫁入り道具として持たせていました。各着物も季節に合わせて着られるように袷、単衣、夏物と3種類ずつ揃える家庭もあり、着物だけでも大変な量と金額になったことでしょう。

 

今は1~2種類の着物&帯を持たせることが多い

今は昔とちがい、1~2種類の着物と帯を嫁入り道具として持たせるケースが増えています。TPOごとに対応できるようたくさんの着物を持たせていた昔とちがい、今はできるだけ多くのシーンで着られる着物を用意するのが一般的です。理由としては、現代では昔とちがい居住空間が狭まっていることがあげられます。

嫁入り道具に着物箪笥1竿を持たせるのは生活様式に合っていないとの意見が大半です。「ミニマムな暮らし」が理想とされる時代背景も関係しているでしょう。また昔とちがい現代は着物にあまり馴染みがないため、嫁入り道具として着物を持って行っても着る機会がないと考える方も多いようです。

しかし、着物は日本が世界に誇る美しい伝統文化のひとつ。大切な行事の節目には、できれば思いのこもる着物を着用して参加したいものですね。

 

現代に嫁入り道具として着物を持たせる意義は?

嫁入り道具の着物

嫁入り道具の着物を用意する意義は、持たせる着物に愛情を込めたり、親子の絆を深めたりできるところにあります。嫁入り道具は単に「道具を持たせる」という意味にとどまりません。

 

親の愛情や思い出を伝えられる

母から娘へと着物を持たせることで、母親が娘を思う愛情・気持ちを着物に込めることができます。また、これから母になる娘に「母親としての心構え」を伝える意味もあります。着物を着ることは手間暇がかかる行為。だからこそ式典やお呼ばれの席で着物を着ることで、相手への敬意や子どもへの愛情を表現することができるのです。

 

3世代で思い出を共有できる

着物は何十年も着られるため、世代や時間を超えて思い出を共有できるのも意義のひとつ。消耗品であるファストファッションとちがい、3世代で思い出を共有することができます。

たとえば嫁入り道具に着物を持たせることで「あなたのおばあちゃんが用意してくれた着物よ」と、親子3世代で思い出をつなげるのは着物ならではの魅力です。娘が大きくなったとき、母親が30年前に着用した思い出の着物を娘が着る喜びもあります。

消費の多い社会だからこそ、物とともに心を伝承していける着物のもつ意味合いは大きいです。嫁入り道具に着物を持たせることは、着物とともに家族の愛情や思い出を娘に伝える大切な風習といえるでしょう。

 

【現代の嫁入り道具】最低限これだけは持たせたい!人気の着物とは?

現代の嫁入り道具

たくさんの着物を持たせることが現実的に難しい現代の嫁入り道具事情ですが、最低限持たせるならどの着物がよいのでしょうか?着物のプロがおすすめする「結婚する娘にこれだけは持たせたい!」という人気の着物を紹介します。

 

一着だけなら「ひかえめな色柄の付け下げ」がおすすめ

嫁入り道具の着物を一着だけ持たせるなら「ひかえめな色柄の付け下げ」がもっともおすすめです。上品な色柄の付け下げが一枚あれば、親戚から知人の結婚式から子どもの七五三や入学式・卒業式まで幅広く着用できます。仕立て方法はやはり着られる季節の長い「袷」がおすすめです。さらに一つ紋をつけることで、フォーマルなシーンまで着用できます。

「それなら訪問着のほうがよいのでは?」と思う方もいるかもしれませんが、子どもが主役の行事で訪問着を着用すると華美な印象になってしまうことも。また結婚式も現代では小規模なレストランウエディングなども増えているため、ひかえめな印象の付け下げなら目立ち過ぎることなく場に馴染みます。

昔は多くの方が華やかな訪問着を娘に持たせましたが、現代のライフスタイルでは「ひかえめな色柄の付け下げ」のほうが活躍のシーンが広いといえるでしょう。

 

帯は名古屋帯&袋帯を用意して幅広いシーンに対応

ひかえめな付け下げに合わせる帯は、袋帯と名古屋帯を一本ずつ用意することで着用の幅がさらに広がります。同じ着物でも合わせる帯を変えることで、落ち着いた席から華やかなシーンにまで着用が可能です。たとえば子どものお宮参りや七五三など、子どもが主役のシーンでは付け下げに名古屋帯をしめて。

親戚の披露宴など華やかさが欲しいときは、立派な袋帯を合わせると装いの格が上がります。できるだけ幅広いシーンに着用できるよう、現代の嫁入り道具の着物は「ひかえめな色柄の付け下げ+袋帯&名古屋帯」の組み合わせをもっともおすすめします。

 

これで後悔なし!嫁入り道具に着物を用意するときの注意点6つ

嫁入り道具の訪問着

嫁入り道具の着物を用意するときは、注意すべきポイントがあります。よく両親に用意してもらった嫁入り道具について、後悔やお困りの声を耳にします。以下の6つのポイントをおさえて嫁入り道具を誂えることで、後々の心配がなくなりますよ。

【嫁入り道具に着物を用意するときの注意点6つ】

  1. 着物は流行のない古典柄がおすすめ
  2. 母親世代になっても着られる色柄を選ぶ
  3. フォーマルな席で着用できるように紋をつける
  4. 体型の変化を見据えて余裕のある寸法に仕立てる
  5. 着物の保管方法に気をつける
  6. 嫁ぎ先の家族構成や風習により黒留袖・喪服なども検討する

    1.着物は流行のない古典柄がおすすめ

    嫁入り道具の着物の柄は、流行廃りのない「古典柄」を選びましょう。日本に何百年と続く古典柄の着物であれば、数十年たってもまったく廃れることがないので自信を持って着ることができます。失敗例として、嫁入り当時に流行っていた「流行柄」の着物を選んでしまったことで、数十年後に着ようと思ったら柄が古臭く感じられて一度も着ないまま処分した、というケースはよく耳にします。

    せっかく親が用意してくれた嫁入り道具の着物も、着ないまま処分することになったらもったいないですよね。嫁入り道具の着物を選ぶときは、吉祥文様、有職文様、正倉院文様などの古典柄をチョイスしましょう。数十年たっても古臭くなく伝統的な美しさを誇るのは、古典柄だけの魅力です。

     

    2.母親世代になっても着られる色柄を選ぶ

    嫁入り道具の着物は、母親世代になったときを見こした色柄を選びましょう。母親として子どもの行事で着物を着るシーンでは、派手すぎないひかえめな色柄の着物が重宝します。たとえば派手なピンク色や朱色の着物などは、結婚して数年~数十年後には派手に感じて着にくくなってしまう可能性があります。

    嫁入り道具で着物を誂えるときは「今似合う着物」ではなく「母親になったときの自分が似合う着物」を意識して選ぶことをおすすめします。

     

    3.フォーマルな席で着用できるように紋をつける

    嫁入り道具で用意する着物は、フォーマルな席でも着られるように紋をつけましょう。礼装用の着物は、紋によって着物の格があがります。たとえば付け下げや色無地も、紋を入れることで訪問着と同格の改まった装いに。

    また、関西では「女紋」と言って母親の紋を娘が受け継ぐ風習があります。嫁いで苗字が変わっても、紋により両親との血縁を感じられる習わしです。家紋は自らの家系を示す大切な印なので、嫁入り道具の着物にも忘れずに紋を入れましょう。

     

    4.体型の変化を見据えて、余裕のある寸法に仕立てる

    嫁入り道具の着物は数年~数十年後に着用することも見通して、余裕のある寸法に仕立てましょう。とくに女性は出産後に体型が変わる方も多いもの。着物は子どもが生まれてから成長行事で着用する機会が多いため、嫁入り前の寸法で仕立ててしまうと後々サイズが合わなくなってしまう可能性があります。

    出産後は腰回りが広がるのが一般的なので、身幅を若干広めに仕立てることをおすすめします。母親や祖母の体型を参考に、家系的な体型の変化も考慮して仕立てるとなおよいでしょう。

     

    5.着物の保管方法に気をつける

    嫁入り道具の着物は、長く大切に着られるようにきれいな状態での保管に気を配りたいものです。着物の保管中もっとも気をつけたいのは湿気によるカビの発生です。現代は桐箪笥ではなくクローゼットなどで着物を保管することが多いので、湿度管理には十分注意する必要があります。

    なかには「嫁入り道具の着物一式を物置部屋に保管していた結果、すべての着物にカビが生えて着ることができなくなってしまった」という後悔の声も。

    着物の保管は年に2回程度の虫干し(着物を箪笥から出して風を通す)や、着用後の適切なお手入れが大切です。忙しくて保管やメンテナンスがなかなか難しい方向けに、えり正には着物の代理保管サービスやカビ防止の保管パックのサービスもあります。気になる方はぜひ一度ご相談ください。

     

    6.嫁ぎ先の家族構成や風習により黒留袖・喪服なども検討する

    嫁入り道具の着物を誂えるときは、嫁ぎ先の家族構成や着物を着る風習、大切な人生の節目への考え方などに考慮して着物を選ぶことが大切です。たとえば節目に着物を着る習慣や思い出作りを大切にする家に嫁ぐ場合、付け下げだけでなく黒留袖や喪服などの着物も嫁入り道具として用意するのがベター。

    また結婚を控えた親戚が多い場合は黒留袖や色留袖、相手のご両親や祖父母がご健在であれば喪服などの準備も大切です。嫁ぎ先の家族構成や風習に合わせて嫁入り道具の着物を用意することで、嫁いだ後に急に着物が必要になり焦る心配がなくなりますよ。

     

    【豆知識コラム】「古い嫁入り道具の着物」の処分方法に困っている方は多い?下取りやリフォームがおすすめ

    古い嫁入り道具の処分方法

    昔嫁入り道具としてたくさんの着物を用意した結果、なかなか着る機会がなく処分方法に困っている方も多いようです。えり正ではそんな方に向けて「着物の下取りサービス」や「リフォームサービス」をご用意しています。

    • 一度も袖を通していない昔の嫁入り道具の着物
    • 母や祖母が生前大切にしていた着物
    以上のような着物の整理でお困りの方で、
    • 整理したくても品質が分からず処分できない
    • よい着物と知らず業者に安く売って後悔しそう
    • 次世代によい着物を残したい

    という思いの方は、断捨離やリフォームなどさまざまな解決策がありますよ。せっかく両親がお金をかけて揃えてくれた着物を無駄にしないためにも、プロの適切なアドバイスのもと着物を整理することが大切です。着物とメンテナンスのプロが、古い着物を正しく整理整頓するためのお手伝いをさせていただきます。ぜひえり正までお気軽にご相談ください。

     

    嫁入り道具の相談はえり正へ

    えり正で嫁入り道具の相談

    今回は「嫁入り道具の着物」について、昔と今の嫁入り道具の着物のちがいや、現代のライフスタイルに合ったおすすめの着物などについて解説しました。嫁入り道具の着物は昔と今で考え方が大幅に変わっているので、現代の生活様式に合った着物を用意することをおすすめします。

    えり正では「娘のために新しく嫁入り道具を用意したい」という方から「古い嫁入り道具の処分で困っている」という方まで、着物に関するお悩みならどんなことでもおまかせいただけます。古い着物の下取りでお渡しする商品券は、嫁入り道具に欠かせないパールネックレスのご購入にもお使いいただけます。新旧の嫁入り道具の着物に関するご相談なら、ぜひえり正までお気軽にお問い合わせください。

     

    \お気軽にご相談ください/

    ■ お問い合わせ・来店予約はこちら

    メールでお問い合わせ

    LINEでお問い合わせ

    ■ えり正 神戸店
    〒651-1221
    兵庫県神戸市北区緑町7-20-10

    ■ えり正 福山店
    〒720-0822
    広島県福山市川口町2丁目10−47

    ブログに戻る